2015年1月11日日曜日

百円の恋(1/5)

























すごく好きでした。

年末年始のドタバタ帰省の中、「明日から仕事始め」なる憂鬱を振り切るべく、
テアトル新宿で、夕方の会を観てきました。
会場はほぼ満員で熱気ムンムン。
この位の露出感の映画って、大阪ではそんなに混むイメージはないんですが、
そこはやっぱり東京なのかな、とかも思ったり。

ストーリーは、誤解を恐れずに言えば、平板な「負け犬たちが這い上がる」モノ。
それ以上でも以下でもないんですが、
数多の観客が叫ぶ通り、安藤サクラの演技がすごい。

「もらとりあむタマ子」よろしく(正確にはその数段ひどいんですが)、
ろくに仕事もせずにフラフラしてる30代女子の一子(安藤サクラ)。
離婚して出戻ってきた姉と大げんかして、永らく胡座をかいてきた
実家を飛び出したことをきっかけに、目を背けてきた現実がどっと襲ってくる。
その絶望の最中でボクシングに出会って、、、というストーリー。

彼女がボクシングに出会って徐々に変わっていく様が、
表情ひとつ、目つきひとつでありありとスクリーンから伝わってきて、
役者ってのはこういう人のことを言うんだな、と。

安藤サクラの演技の他には、
一子が実家を飛び出してから、彼女の前に立ち現れる「社会」の苦味が絶妙。
一子が働くコンビニの先輩店員のオッさんとか、
弁当の廃棄を主食にしているオバさんとか、
「マジッすか」しか言わない後輩店員とか、出てくる人みんな、普通じゃない。
多分にデフォルメはされてるんだけど、「でもどこかにはいそう」な感じ、
いい映画には必須。そういう意味で、完全なフィクションにはならないというか。

身も蓋もないことを言ってしまえば、彼女はボクシングで飯を食っていくことなんて
当然不可能なわけで(年齢もあるし)。
でも、もう今までの一子ではなくって、確実に成長した姿があるわけですよ。
サクセスストーリーで溜飲を下げるよりも、ずっと希望のあるラストだと思います。


年始から、おせちでたるんだ身体と心に喝を入れられる、
ストイックな映画でした。

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